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HR & Payroll

法定福利費の計算方法をわかりやすく解説

法定福利費に含まれる5つの保険、加入対象の判定、標準報酬月額の仕組み、会社負担の概算、計算例・仕訳までを、図解と実務ツールで確認できる記事です。

※本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
※内容は一般的な実務情報の概要のため、最終的な判断は最新の公式情報や専門家への確認を前提にしてください。料率・加入要件は制度・年度・都道府県・業種で変わるため、公式(協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省)と社会保険労務士等にご確認ください。

この記事でできること

  • 法定福利費に含まれる5つの保険の役割と負担区分
  • 誰が社会保険・雇用保険の加入対象になるかの判定の目安
  • 標準報酬月額の仕組みと、会社負担の概算・計算例・仕訳
  • よくある計算ミスと、Excel管理・ソフト管理の比較

まず結論

法定福利費の実務は、金額をいきなり計算する前に「誰が加入対象か」を確認するのが出発点です。加入対象を確定し、標準報酬月額と料率から会社負担と本人控除を分けて計算し、給与・納付・年度更新まで反映します。

確認社会保険・雇用保険・労災の加入対象者を先に確認する
計算標準報酬月額×料率。会社負担と本人控除を分ける
反映給与計算・納付・年度更新・料率改定に反映する

図解:法定福利費の実務の流れ

毎月の給与計算と保険料の確認は、次の流れで進めると抜け漏れを減らせます。料率改定や入退社があった月は、各ステップを丁寧に見直します。

1対象者を確認

社会保険・雇用保険・労災の加入者を特定する

2標準報酬月額を確認

報酬から等級を確認する

3料率を確認

健保・厚年・雇用・労災の年度料率を確認する

4会社負担を計算

標準報酬月額×料率で会社負担を出す

5給与計算に反映

本人控除と会社負担を分けて反映する

6納付・更新を反映

納付、年度更新、料率改定を反映する

基礎解説:法定福利費とは

法定福利費は、会社が法律に基づいて負担する福利厚生関連の費用です。代表的なものに、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料などがあります。従業員負担分と会社負担分があるものもあり、給与計算では控除と会社負担を分けて確認します。

法定外福利費と混同しないことも重要です。社員旅行、慶弔費、住宅補助などは法定外福利費に分類されることがあり、法定福利費とは扱いが異なります。

図解:5つの保険の見取り図

法定福利費に含まれる主な保険は次の5つです。それぞれ「何のための保険か」「誰が負担するか」「どこが運営するか」が異なります。

法定福利費に含まれる5つの保険の見取り図 健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の5つについて、保険名・目的・負担区分・運営先を並べた図。健康保険・介護保険・厚生年金は労使折半、雇用保険は事業主の負担が多め、労災保険は会社が全額負担する。 健康保険 病気・けがの医療給付 負担:労使折半 協会けんぽ・健康保険組合 介護保険 40歳以上の介護保障 負担:労使折半(40歳〜64歳) 健康保険と一体で徴収 厚生年金 老齢・障害・遺族の年金 負担:労使折半 日本年金機構 雇用保険 失業給付・育児休業給付など 負担:労使(事業主が多め) ハローワーク(労働局) 労災保険 業務・通勤災害の補償 負担:全額会社 労働基準監督署(労働局)
労使折半事業主が多め全額会社
※概念図です。介護保険は40歳以上が対象です。料率・割合は制度・年度・都道府県・業種で変わります。最新の料率・要件は公式(協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省)でご確認ください。
  • 健康保険:病気・けがの医療給付などのための保険です。負担は労使折半が基本で、運営は協会けんぽや健康保険組合です。
  • 介護保険:40歳以上(40〜64歳が第2号被保険者)が対象の介護保障です。健康保険と一体で徴収され、負担は労使折半が基本です。
  • 厚生年金:老齢・障害・遺族の年金のための保険で、負担は労使折半、運営は日本年金機構です。
  • 雇用保険:失業給付や育児休業給付などのための保険で、労使が負担しますが事業主負担が多めです。窓口はハローワーク(労働局)です。
  • 労災保険:業務・通勤による災害を補償する保険で、保険料は会社が全額負担します。業種により料率が異なります。

図解:会社負担と従業員負担の内訳

法定福利費の多くは、会社と従業員で負担を分担します。下図は負担割合のイメージです。実際の料率・割合は制度や年度、加入状況で変わります。

健康保険 会社 50% 本人 50% 厚生年金 会社 50% 本人 50% 雇用保険 会社 約61% 本人 約39% 労災保険 会社 100%
会社負担従業員負担
※ 概念図です。健康保険・厚生年金は労使折半、雇用保険は事業主負担が多め、労災保険は会社が全額負担します(業種により料率が異なります)。

実務で確認するポイント

計算前には、対象者、標準報酬月額、保険料率、年齢、加入状況、雇用保険の対象賃金、入退社日、休職状況を確認します。特に40歳到達による介護保険料、社会保険の資格取得・喪失、年度更新、料率改定はミスが起きやすい項目です。

見積書に法定福利費を反映する場合は、どの人件費を基礎にするのか、料率をどう設定するのか、社内で根拠を残します。取引先から説明を求められたときに、算定根拠を示せる状態にしておくと安心です。

図解:加入対象の判定フロー

以下は一般的な目安です(2026年6月時点)。要件は変わるため、金額や時間だけで断定せず、最終判断は年金事務所・社会保険労務士へ確認してください。2026年10月以降は社会保険の適用拡大により賃金要件(いわゆる「106万円の壁」)が撤廃予定です。詳しくは社会保険の適用拡大と「106万円の壁」を確認してください。

雇用する人を確認雇用形態、所定労働時間・日数、雇用見込み期間を見る
Q1 正社員、または週の所定労働時間・日数が通常の労働者の3/4以上か?
Yes社会保険の加入対象
No短時間労働者の要件へ
Q2 週の所定労働時間が20時間以上か?
Yes次へ
No社会保険は対象外の方向
Q3 月額賃金が8.8万円以上か?
Yes次へ
No現行は対象外(2026.10〜撤廃予定)
Q4 学生でない・2か月超の雇用見込み・企業規模要件を満たすか?
Yes社会保険の加入対象
No各要件を個別に確認
社会保険に加入健康保険・厚生年金(介護保険は40歳以上)の対象
雇用保険に加入週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みで対象
労災保険雇用する労働者は原則対象(保険料は会社が全額負担)
最終判断は年金事務所・社労士へ要件・金額は最新の公式情報で確認し、判断に迷う場合は専門家へ。2026年10月の適用拡大は適用拡大の記事を参照してください。

標準報酬月額の仕組み

健康保険・厚生年金の保険料は、毎月の給与そのものではなく、報酬を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。次の3段階で考えると整理しやすくなります。

標準報酬月額の仕組み 報酬(基本給や通勤手当など)を標準報酬月額の等級にあてはめ、その標準報酬月額に保険料率をかけて保険料を計算する、という3段階の流れを示した図。 報酬 基本給・役職手当 通勤手当 など 標準報酬月額 等級表に あてはめる 保険料 標準報酬月額 × 保険料率
標準報酬月額は4〜6月の報酬をもとに定時決定し、大幅な変動があれば随時改定します。等級・上限額・保険料率は協会けんぽ・日本年金機構の公式表でご確認ください(2026年6月時点)。

標準報酬月額は、原則として毎年4〜6月に支払われた報酬をもとに定時決定され、その年の9月分から適用されます。昇給・降給などで報酬が大きく変わったときは随時改定で見直します。等級区分・上限額・保険料率は年度や制度改正で変わるため、具体的な金額は公式の保険料額表で確認してください。

概算計算ツール:法定福利費(会社負担)

月額給与と対象人数を入力すると、会社負担分(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災)の概算と合計、給与に対する負担率を表示します。

このツールは2026年度の一般的な目安料率を用いた概算であり、正式な保険料計算ではありません。健康保険料率は都道府県・介護保険(40歳以上)で、雇用保険・労災保険率は年度・業種で変わります。正式な計算は協会けんぽ 保険料額表日本年金機構厚生労働省(雇用保険料率)の最新情報と社会保険労務士等にご確認ください。

入力すると、会社負担の概算(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災)と合計、給与に対する負担率を表示します。

計算例:月額給与300,000円・1人

前提

前提条件

  • 月額給与(総支給):300,000円
  • 対象人数:1人
  • 料率:2026年度の会社負担分の目安

料率

会社負担分の目安料率

健康保険 5.00%/厚生年金 9.15%/雇用保険 0.95%/労災保険 0.30%(会社負担分の目安。都道府県・介護保険・業種で変わります)。

会社負担

会社負担の概算

健康保険 15,000円/厚生年金 27,450円/雇用保険 2,850円/労災保険 900円。合計 46,200円、給与に対する負担率は約 15.4% です。

仕訳例(一般的な考え方)

本人負担分は給与から預り、会社負担分は法定福利費として計上するのが基本です。

給与支払時:本人負担分(社会保険・雇用保険)は 預り金 として控除します。

会社負担分:借方 法定福利費 / 貸方 未払金(または預り金)。

納付時:借方 預り金・未払金 / 貸方 現金預金

勘定科目・計上のタイミング・端数処理は、会社の会計方針や顧問税理士の確認に従ってください。上記は一般的な例で、断定するものではありません。

よくあるミス

よくあるミス起きやすい場面防ぐための確認
料率改定を反映していない年度更新・保険料率の改定時期改定時に給与計算の料率を更新し、変更履歴を残します。
入退社者の保険料を誤る月の途中での入退社・資格取得喪失資格取得・喪失月の保険料のルールを確認します。
雇用保険の対象賃金を誤る対象外の手当を賃金に含めたとき雇用保険の対象賃金の範囲を確認します。
本人負担と会社負担を混同する控除と会社負担を分けずに集計したとき預り金(本人負担)と法定福利費(会社負担)を分けます。
40歳到達の介護保険料の反映漏れ従業員が40歳に到達した月40歳到達者を毎月確認し、介護保険料を反映します。
見積書と給与計算の前提がずれる建設業などで法定福利費を見積書に明示するとき算定根拠を社内に残し、前提をそろえます。

Excel管理とソフト管理の比較

従業員数が少なく、担当者を限定できる会社では、Excelでも法定福利費を管理できます。一方で、人数・拠点・関係者が増えると、料率改定や扶養変更の反映が重くなります。

Excel管理が向いている会社

  • 従業員数が少なく、更新者を限定できる
  • 料率改定や入退社の頻度が低い
  • 初期コストを抑えたい
  • 従業員マスタと料率を手作業で紐付けられる

ソフト管理が向いている会社

  • 従業員数や入退社が増えている
  • 複数拠点・複数担当者で管理している
  • 社会保険・雇用保険・年末調整をまとめたい
  • 勤怠・給与・控除の連携で確認を減らしたい
比較項目Excel管理給与・労務ソフト管理
初期コスト低い。すぐ始めやすい。月額費用や移行作業が必要になる。
料率改定の反映手作業で更新。反映漏れに注意。更新が反映されやすく、計算が標準化される。
入退社・40歳到達個別に確認・修正する。対象月や控除の管理を支援しやすい。
本人控除と会社負担数式で分けるが属人化しやすい。控除と会社負担を分けて出力しやすい。
税理士・社労士との共有Excelと証憑を別々に共有しがち。同じソフトや権限で共有しやすい場合がある。
向いている会社人数が少なく、管理ルールを守れる会社。人数・拠点が増え、確認作業を減らしたい会社。

毎月の計算と反映に手間を感じたら

料率改定や入退社の反映を手作業で続けると、確認の負担が増えていきます。計算シートでの整理や、給与・労務管理ソフトでの自動化を検討する選択肢もあります。

確認チェックリスト

法定福利費でミスが起きやすい項目です。画面上でチェックできます(保存機能はありません)。

0 / 5 完了

給与計算・労務管理を手作業で管理している場合は、関連ツールもおすすめです

従業員情報、社会保険料、給与計算、年末調整、勤怠データは連動しているため、ツール導入で確認作業を減らせます。

関連テンプレート

参考リンク(公式)

FAQ

法定福利費は毎月変わりますか?

給与額、料率、加入状況、入退社、年齢などで変わることがあります。料率改定や標準報酬月額の見直しがあった月は特に確認します。

見積書に法定福利費を入れるべきですか?

業種や取引条件によって扱いが異なります。建設業などで明示する場合は、どの人件費を基礎にしたか算定根拠を残しましょう。

介護保険料はいつから発生しますか?

介護保険は40歳以上(40〜64歳が第2号被保険者)が対象です。40歳到達の月から健康保険と一体で徴収されます。具体的な料率は公式の保険料額表で確認してください。

賞与にも社会保険料はかかりますか?

賞与にも、標準賞与額に保険料率をかけた社会保険料がかかるのが基本です。月給とは別に計算し、上限などのルールもあるため、公式の保険料額表で確認してください。

2026年10月で何が変わりますか?

社会保険の適用拡大により、賃金要件(いわゆる「106万円の壁」=月額8.8万円以上)が撤廃される予定です。週20時間以上などの要件は維持されます。詳しくは社会保険の適用拡大と「106万円の壁」を確認してください(2026年6月時点)。

給与ソフトで何が効率化できますか?

従業員情報、社会保険料、給与計算、年末調整、明細発行などを一元管理しやすくなります。勤怠と連携すれば支給額・控除額の確認もスムーズになります。

まとめ

法定福利費は、まず「誰が加入対象か」を確認し、標準報酬月額と料率から会社負担と本人控除を分けて計算し、給与・納付・年度更新まで反映する実務です。料率や従業員情報の変更を反映できる管理体制を整え、手作業の負担が大きくなってきたら給与・労務管理ソフト比較を確認しましょう。要件・料率は変わるため、最終判断は最新の公式情報と専門家(社会保険労務士・税理士)の確認を前提にしてください(2026年6月時点)。

この記事は一般的な実務情報の提供を目的としています。税務・労務・法務などの判断が必要な場合は、税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家へ確認してください。

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