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予算編成の組み方|固定費の積み上げとCVPで作る予算

「勘で作る予算」を、固定費の積み上げ・変動費率・目標利益から筋の通った予算に組み替えます。予算ビルダーとCVPで、いくら売れば届くか・どれだけ余裕があるかまで確認できる実務ツール型の記事です。

※本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
※内容は一般的な実務情報の概要のため、最終的な判断は最新の公式情報や専門家への確認を前提にしてください。数値はすべて説明用のサンプルです。

Tool Article

このページは読むだけの記事ではありません。予算編成の解説に加えて、年間売上目標・変動費率・費目別の固定費・目標営業利益から予算損益を組み立て、損益分岐点・安全余裕率・月次配分まで出す予算ビルダーを利用できます。試験対策ではなく、自社の数字で予算を組み、経営判断に使うための実務ツールです。CVP(損益分岐点)の理論そのものは損益分岐点とCVP分析にまとめています。

この記事でできること

  • 固定費の積み上げと変動費率から予算損益を組む
  • CVPで損益分岐点・安全余裕率を確認し、予算の健全性を見る
  • 目標営業利益に必要な売上高を逆算する
  • 年間予算を月次に落とす

予算編成とは、次の1年(や四半期)で「どれだけ売り、どれだけ費用をかけ、どれだけ利益を残すか」をあらかじめ数字で描くことです。多くの中小企業では前年比の勘で決めがちですが、目標利益・固定費・変動費率から組み立てると、その予算が実現可能かを筋道立てて確認できます。

本記事は、簿記(記録)・CVP(損益分岐点)・原価や指標の分析といった既存の考え方を「未来を描く予算」に当てはめる実践編です。CVPの理論は損益分岐点とCVP分析、指標は財務諸表分析・経営指標、原価の変動・固定の分解は工業簿記・原価計算の基礎に譲り、ここでは予算を組み立てる手順とツールに集中します。数値はすべて説明用のサンプルです。

まず結論

予算は、目標営業利益 + 固定費の積み上げ + 変動費率から逆算すると筋が通ります。固定費を費目で積み上げ、変動費率から限界利益率を出せば、「必要売上高」と「予算損益」が組めます。さらにCVPを掛けると、その予算が損益分岐点からどれだけ余裕があるか(安全余裕率)まで見えます(数値はサンプルです)。

積み上げで組む目標営業利益・費目別の固定費・変動費率から予算損益を組み立てる。前年比の勘に頼らない
CVPで健全性を確認いくら売れば届くか(損益分岐点)・どれだけ余裕があるか(安全余裕率)を予算に重ねて見る
数字で意思決定月次に落として実績と比べる前提で組む。予算は立てて終わりでなく運用してこそ効く

図解:予算編成の流れ

予算編成は、残したい利益を先に置き、固定費を積み上げ、変動費率から必要売上を逆算する、という順で進めると迷いません。組んだ予算は月次に展開し、実績と比べて検証します。

1目標営業利益を決める

1年でいくら利益を残したいかを先に置きます。

2固定費を積み上げる

人件費・地代家賃・その他を費目で合計します。

3変動費率を見積もる

売上に対する変動費の割合(=1−限界利益率)を出します。

4必要売上高を逆算

(固定費+目標利益)÷限界利益率で求めます。

5予算P/Lを組む

売上・変動費・限界利益・固定費・営業利益に整えます。

6月次に展開

年間を12分割し、季節性があれば調整します。

7予実で検証

実績と比べて差異を見ます(予実管理は今後追加)。

予算の組み立て方

手順は次のとおりです。いずれも自社の実数で確認してください。

  1. 目標営業利益を決める残したい利益を先に決めます。ここが予算の出発点です。
  2. 固定費を費目で積み上げる人件費・地代家賃・その他(リース料・減価償却費など)を費目ごとに合計します。原価の固定費・変動費の分け方も参考にできます。
  3. 変動費率を見積もる売上に対する変動費(仕入・材料費・外注費など)の割合を出します。限界利益率は 1 − 変動費率です。
  4. 必要売上高を逆算する(固定費計 + 目標営業利益)÷ 限界利益率で、目標を達成する売上高が出ます。

予算損益は「売上高 − 変動費 = 限界利益」「限界利益 − 固定費 = 営業利益」という構造になっています。限界利益がまず固定費を回収し、超えた分が営業利益になる、という順番です。

予算損益の構造 上段の棒は予算売上高を変動費と限界利益に分けたもの。下段の棒は、その限界利益が固定費と営業利益に分かれることを示す。限界利益がまず固定費を回収し、超えた分が営業利益になる。 予算売上高 = 変動費 + 限界利益 変動費(40%) 限界利益(60%) 限界利益 = 固定費 + 営業利益(予算) 固定費 営業利益
予算売上高は変動費と限界利益に分かれ、限界利益がまず固定費を回収し、超えた分が営業利益になります。CVPの考え方と地続きです(概念図・数値は例示)。

予算ビルダー(計算ツール)

年間売上目標・変動費率・費目別の固定費を入れると、予算損益(変動費・限界利益・固定費計・営業利益)と、CVP読み取り(損益分岐点売上・安全余裕率)、月次の概算を出します。目標営業利益を入れると、達成に必要な売上高も表示します。金額は同じ期間(年間)でそろえて入力してください。

Input

入力カード

Result

結果カード

売上目標・変動費率・固定費を入力すると、予算損益とCVP・月次が表示されます。

計算例

Example

前提条件(サンプル)

  • 年間売上目標:120,000,000円(1.2億)
  • 変動費率:40%(限界利益率 60%)
  • 固定費:人件費4,000万・地代家賃800万・その他1,200万=計6,000万
  • 目標営業利益:18,000,000円(1,800万)

Formula

計算式

営業利益(予算)
1.2億×60% − 6,000万 = 1,200万

損益分岐点売上
6,000万 ÷ 0.6 = 1億

必要売上(目標1,800万)
(6,000万+1,800万) ÷ 0.6 = 1.3億

Result

読み取り

  • 限界利益:7,200万円(率60.0%)
  • 営業利益(予算):1,200万円
  • 損益分岐点売上:1億円/安全余裕率:16.7%
  • 必要売上高(目標達成):1.3億円
  • 月次(均等):売上1,000万円/営業利益100万円

予算とCVP:損益分岐点・安全余裕率で健全性を見る

組んだ予算は、CVP(損益分岐点分析)を重ねると健全性が見えます。損益分岐点売上高は「固定費計 ÷ 限界利益率」で、この売上を超えれば黒字です。予算売上が損益分岐点をどれだけ上回っているかの割合が安全余裕率で、高いほど売上が落ちても赤字になりにくい予算だと分かります。式の導出や意味の詳細は損益分岐点とCVP分析で確認できます。

予算とCVP(損益分岐点・安全余裕) 0から予算売上高までの帯のうち、損益分岐点売上高までの部分と、そこから予算売上高までの安全余裕の部分を色分けした図。安全余裕の幅を予算売上高で割った割合が安全余裕率。 損益分岐点まで 安全余裕 損益分岐点 1億 予算売上 1.2億 0 安全余裕率 = 安全余裕 ÷ 予算売上 = 16.7%
予算売上が損益分岐点をどれだけ上回っているかが安全余裕です。予算版のCVP図です(概念図・数値は例示)。

予算段階で安全余裕率が小さい(=損益分岐点ぎりぎり)なら、固定費の見直し・変動費率の改善・売上計画の再検討を早めに検討できます。値下げや固定費増が予算に与える影響は、限界利益率が下がる/損益分岐点が上がるという形で表れます。

年間予算を月次に落とす

年間予算は、月次に展開してはじめて運用できます。基本は年間 ÷ 12 の均等配分ですが、季節性がある事業では、繁忙期・閑散期に合わせて月別の指数(配分比率)で調整します。均等配分はあくまで出発点で、実態に合わせて各社で調整してください(一律の正解はありません)。

月次に落とすと、毎月の売上・限界利益・営業利益の目安ができ、実績と比較しやすくなります。まずは均等配分で組み、季節性の大きい月だけを補正するやり方が無理なく始められます。

予実につなげる

予算は立てて終わりではなく、実績と比べてこそ意味を持ちます。月次で予算と実績を対比し、差異(ズレ)がどの費目・どの売上で出たかを見て、次の打ち手につなげます。予実管理・差異分析の詳しい進め方は、本クラスターで今後追加していく予定です。まずは本記事の予算ビルダーで、比較の土台になる予算P/Lを組むところから始めましょう。

予算と実績の集計を仕組みにしたいと感じたら

予算編成は、実績(試算表・決算書)を毎月そろえて比較できると精度が上がります。会計ソフトで費用を科目・区分ごとに把握できると、予実の比較や来期の予算づくりにもつながります。

注意点

本記事とツールは、単純化モデルによる概算・実務整理を目的としています。

  • 「1製品・一定の変動費率」を前提にしています。複数事業・段階的な固定費・準変動費がある場合はズレます。
  • 固定費・変動費の分け方は事業により異なり、判断が分かれることがあります。
  • 月次の均等配分は出発点です。季節性のある事業は月別指数で調整してください(断定できません)。
  • 利益と資金は一致しません。資金の動き(資金繰り)は予算とは別に確認が必要です。
  • 数値はすべて説明用のサンプルです。予算・投資などの正式な判断は、税理士・公認会計士等にご確認ください。

予算の組み立てを確認したら、前提となるCVPや分析・決算の各記事もあわせて確認できます。いずれも実務で使うことを前提に整理しています。

FAQ

予算はどの利益で組むべきですか?

本業の実力を管理するなら、営業利益で組むのが基本です。営業利益は「限界利益 − 固定費」で、売上と本業の費用の関係を直接表すため、CVP(損益分岐点)とも整合します。財務活動まで含める場合は経常利益で見ますが、予算編成の起点としては営業利益が扱いやすいです。利益段階の違いは財務諸表の読み方(BS/PL)で確認できます。

固定費と変動費はどう分けますか?

売上(操業度)に応じて増減するものが変動費(仕入・材料費・外注費など)、売上に関係なく毎期かかるものが固定費(人件費・地代家賃・リース料・減価償却費など)です。判断に迷う準変動費は自社の実態に合わせて振り分けます。分解の考え方は工業簿記・原価計算の基礎もあわせて確認できます。

変動費率が分からないときは?

直近の実績から「変動費 ÷ 売上高」で概算できます。仕入・材料費・外注費・販売手数料など、売上に応じて動く費用を集計して割り出します。事業や商品構成で変わるため、予算では見込みの構成に合わせて設定し、実績が出たら見直します。

安全余裕率や損益分岐点比率の目安はありますか?

一般に安全余裕率は高いほど、売上が落ちても黒字を保ちやすいとされますが、適正水準は業種・事業構造で異なるため一律の基準では断定できません。単年の数字だけでなく、自社の時系列や同業の水準と比べて読みます。指標での深掘りは財務諸表分析・経営指標へ。

月次配分に季節性はどう入れますか?

まず年間予算を12等分し、繁忙期・閑散期がはっきりしている事業では、過去実績の月別構成比(指数)で配分を補正します。たとえば繁忙期の月は配分を厚く、閑散期は薄くします。均等配分は出発点で、実態に合わせて調整するのが前提です(一律の正解はありません)。

予算と資金繰りは何が違いますか?

予算は主に損益(売上・費用・利益)の計画で、資金繰りは現金の入出金のタイミングの計画です。利益が出る予算でも、売掛金の回収が遅い・借入返済や設備投資がある、といった理由で資金が不足することがあります(いわゆる黒字倒産)。予算とあわせて資金繰りも別に確認する必要があります(資金繰り表の作り方は、本クラスターで今後扱う予定です)。

まとめ

予算編成は、目標営業利益・固定費の積み上げ・変動費率から予算損益を組み、CVPで損益分岐点と安全余裕率を確認し、月次に落として実績と比べる、という流れで進めると筋が通ります。まずは自社の実数を予算ビルダーに入れて、営業利益と安全余裕率を確認するところから始めましょう。実績との比較を続けられると、来期の予算の精度も上がります。

この記事は一般的な実務情報の提供を目的としています。税務・会計・経営上の判断が必要な場合は、税理士・公認会計士などの専門家へ確認してください。

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