※本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
※内容は一般的な実務情報の概要のため、最終的な判断は最新の公式情報や専門家への確認を前提にしてください。割増率・要件は労働基準法・厚生労働省の公式情報でご確認ください。固定残業代・管理監督者・時間外労働の上限規制(36協定)の個別判断は社会保険労務士へご相談ください。
この記事でできること
- 残業(割増賃金)の割増率の早見と、重なるときの合算
- 割増の基礎になる「1時間あたり賃金」の出し方
- 残業代を試算できる概算ツールと計算例
- よくあるミスと、端数処理・固定残業代・上限規制の注意
まず結論
残業代(割増賃金)は、「1時間あたり賃金 × 残業時間 × 割増率」で計算します。ポイントは、割増の基礎になる1時間あたり賃金を正しく出すことと、時間外・深夜・休日の割増率(いずれも法定の最低基準)を区別することです。
図解:割増率の早見表
労働基準法37条で定められた割増率は次のとおりです。いずれも「以上」=法定の最低基準で、就業規則でこれを上回る定めはできますが、下回ることはできません。
基礎解説:法定労働時間と残業の種類
労働基準法32条では、法定労働時間は1日8時間・1週40時間と定められています。残業には「会社の所定労働時間は超えるが法定内に収まる残業(法定内残業)」と「法定労働時間を超える残業(法定時間外)」があり、割増の扱いが変わります。
- 法定内残業:所定労働時間を超えても、1日8時間・週40時間の範囲内なら割増は不要で、割増率は1.0(通常の時間給)です。
- 法定時間外:1日8時間・週40時間を超えた時間は時間外労働として25%以上の割増になります。
- 深夜:22時から翌5時の労働には25%以上が上乗せされます(時間外と重なれば合算)。
- 法定休日:法定休日の労働は35%以上です。
残業時間そのものの集計や打刻の管理は、勤怠管理の基礎もあわせて確認してください。
1時間あたり賃金の出し方
割増賃金の基礎になる1時間あたり賃金は、月給のうち割増の基礎となる賃金を、1か月平均所定労働時間で割って求めます。月給をそのまま使わず、除外できる手当を引いてから計算する点に注意します。
毎月支払われる賃金を確認する
家族・通勤・住宅手当など7種を実質で判断して引く
割増の基礎となる賃金を確定する
1か月平均所定労働時間で割る
割増の単価が求まる
1か月平均所定労働時間=(365−年間休日日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12 で求めます。たとえば年間休日120日・1日8時間なら、(365−120)×8÷12 = 約163.3時間が目安です(うるう年や所定の定め方で変わります)。
割増賃金の基礎からは、次の7種の手当を除外できます。ただし名称ではなく実質で判断します。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
除外できるかは支給の実質で判断します。扶養人数に関係なく一律支給の家族手当や、住宅費に応じない一律支給の住宅手当は除外できません(基礎に含めます)。判断に迷う手当は、各労働局の資料や社会保険労務士に確認してください。
残業代の概算計算ツール
1時間あたり賃金の基礎額と月平均所定労働時間、各区分の残業時間を入力すると、割増賃金の概算と合計を表示します。
このツールは法定の最低基準(◯%以上)で計算する概算であり、正式な賃金計算ではありません。法定内残業(所定労働を超え法定内)は割増不要=1.0です。端数処理は就業規則・法令に沿います。固定残業代・管理監督者・上限規制などの個別判断は、厚生労働省の情報や社会保険労務士にご確認ください(2026年6月時点)。
入力すると、1時間あたり賃金と各区分の割増額、合計(概算)を表示します。
計算例:基礎26万円・月平均所定160時間
前提
前提条件
- 割増の基礎となる額:260,000円
- 月平均所定労働時間:160時間
- 時間外(法定外):20時間
- うち深夜:5時間/法定休日:8時間
時間単価
1時間あたり賃金
260,000円 ÷ 160時間 = 1,625円
各割増額
区分ごとの割増額
時間外(×1.25):1,625 × 1.25 × 20時間 = 40,625円
深夜の上乗せ(+0.25):1,625 × 0.25 × 5時間 = 2,031円
法定休日(×1.35):1,625 × 1.35 × 8時間 = 17,550円
合計
割増賃金の概算
60,206円
時間外40,625+深夜2,031+法定休日17,550の合計(概算)です。
割増率はいずれも法定の最低基準です。端数処理は就業規則・法令に沿います。固定残業代がある場合は、みなし時間を超えた分の精算が必要です。実際の金額は就業規則と社会保険労務士の確認に従ってください。
よくあるミス
| よくあるミス | 起きやすい場面 | 防ぐための確認 |
|---|---|---|
| 割増の基礎に除外手当を含める | 家族・住宅手当などを一律で基礎に算入 | 実質で判断し、除外できる手当を控除します。 |
| 法定内残業を割増にする | 所定超〜法定内を25%で支給 | 法定内残業は割増不要(1.0)と確認します。 |
| 残業を全部1.0で払う | 法定時間外も割増せず支給 | 法定(8時間/40時間)超は25%以上を適用します。 |
| 深夜の上乗せ漏れ | 22時以降の時間外で+25%を加算し忘れ | 深夜帯の時間を別集計し+25%以上を上乗せします。 |
| 月60時間超50%の未対応 | 中小企業で60時間超を25%のまま支給 | 60時間超は50%以上(中小も2023.4〜)を適用します。 |
| 端数処理が不適切 | 1分未満や1円未満を労働者に不利に切り捨て | 端数処理は就業規則・法令に沿って行います。 |
| 固定残業代の超過を精算しない | みなし時間を超えても追加支給しない | 超過分は別途精算します。制度の有効性も確認します。 |
| 管理監督者の範囲を誤る | 役職名だけで残業代の対象外にする | 実態で判断します。深夜割増は管理監督者にも適用されます。 |
端数処理・固定残業代・上限規制の注意
時間外労働には上限規制があります。原則は月45時間・年360時間で、特別条項でも上限があります(36協定の締結・届出が前提)。固定残業代(みなし残業)を採用していても、みなし時間を超えた分は別途精算が必要です。労働基準法上の管理監督者は時間外・休日の割増の対象外ですが、深夜割増は対象で、該当性は役職名ではなく実態で判断します。いずれも個別の判断は社会保険労務士へご相談ください(2026年6月時点)。
確認チェックリスト
残業代でミスが起きやすい項目です。画面上でチェックできます(保存機能はありません)。
残業集計と給与計算の手間を感じたら
残業時間の集計から割増計算、給与への反映までを手作業で続けると、確認の負担が増えていきます。勤怠と給与・労務管理ソフトの連携で自動化を検討する選択肢もあります。
参考リンク(公式)
- e-Gov法令検索:労働基準法(第32条・第37条 ほか)(2026年6月時点)
- 厚生労働省:労働基準・時間外労働と割増賃金の情報(2026年6月時点)
- 厚生労働省:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引上げ(リーフレット)(2026年6月時点)
FAQ
法定内残業に割増は必要ですか?
会社の所定労働時間を超えても、1日8時間・週40時間の法定内に収まる残業は割増不要で、割増率は1.0(通常の時間給)です。ただし就業規則で割増を定めている会社もあるため、自社の規程を確認してください。
月60時間超の50%は中小企業もいつから適用ですか?
月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上は、中小企業も2023年4月1日から適用されています。最新の取り扱いは厚生労働省で確認してください(2026年6月時点)。
深夜や休日と重なったらどうなりますか?
割増は合算します。時間外×深夜=50%以上、法定休日×深夜=60%以上、月60時間超×深夜=75%以上が目安です(いずれも最低基準)。
固定残業代があれば追加で払わなくてよいですか?
固定残業代(みなし残業)でも、みなし時間を超えた分は別途精算が必要です。制度の有効性には要件があるため、個別の判断は社会保険労務士に確認してください。
管理監督者は残業代が不要ですか?
労働基準法上の管理監督者は時間外・休日の割増の対象外ですが、深夜割増は対象です。該当するかは役職名ではなく実態で判断します。
端数処理はどうすればよいですか?
端数処理は就業規則・法令に沿って行います。労働者に不利になる恣意的な切り捨てはできません。具体的な取り扱いは公式情報や社会保険労務士に確認してください。
まとめ
残業代(割増賃金)は、除外できる手当を引いて1時間あたり賃金を出し、時間外・深夜・法定休日の割増率(いずれも最低基準)を区別して「時間 × 単価 × 割増率」で計算します。法定内残業は1.0、月60時間超は50%以上(中小も2023.4〜)など区分を取り違えないことが大切です。端数処理・固定残業代・上限規制・管理監督者の判断は、最新の公式情報と社会保険労務士の確認を前提にしてください(2026年6月時点)。
この記事は一般的な実務情報の提供を目的としています。賃金・労働時間・割増賃金の最終判断は、最新の労働基準法・厚生労働省の情報および社会保険労務士などの専門家へ確認してください。
Related