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※内容は一般的な実務情報の概要のため、最終的な判断は最新の公式情報や専門家への確認を前提にしてください。
まず結論
令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)にもとづき、2026年10月1日から健康保険・厚生年金保険の「保険料調整制度」が始まりました。事業主が被保険者(短時間労働者)の保険料の一部を一時的に負担することで本人の負担を軽減する仕組みで、利用開始から通算3年間が対象です。日本年金機構の案内では、事業主が最終的に納付する保険料の総額は増えないとされています。自動では適用されず、事業主の申出が必要で、申出には期限があります(2026年10月時点)。
対象となる事業所と対象外
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる事業所 | 次のいずれか。(1) 2026年10月1日〜2035年9月30日に新たに任意特定適用事業所(被保険者50人以下で、労使合意により短時間労働者を適用対象とした事業所)となった事業所、(2) 2027年10月以降の適用拡大で新たに特定適用事業所となった事業所(2027年10月〜被保険者36〜50人、2029年10月〜21〜35人、2032年10月〜11〜20人、2035年10月〜10人以下)、(3) 任意適用の個人事業所が2027年10月1日〜2035年9月30日に被保険者51人以上となって特定適用事業所になった場合、(4) 2035年10月1日以降に任意適用事業所となった個人事業所 |
| 対象外 | 2026年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)だった事業所 |
| 対象となる被保険者 | 短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入する被保険者のうち、標準報酬月額が12.6万円(126,000円)以下の人。事業所単位で適用され、一部の人だけを選ぶことはできない。70歳以上の高齢任意加入者、複数の事業所で加入している人、産休・育休で保険料が免除されている人は対象外 |
| 申出期限 | 任意特定適用事業所となった日から2年を経過した日の属する月の前月まで(例:2026年10月に該当した事業所は2028年9月末まで) |
| 提出書類・提出先 | 「保険料調整開始申出書」を事務センターまたは管轄の年金事務所へ郵送か窓口持参 |
| 利用開始月 | 申出書が受け付けられた日の属する月から。さかのぼっての利用はできない |
任意特定適用事業所になるための申出(被保険者の同意が必要)と、保険料調整制度の開始申出は別の手続きです。賞与にかかる保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金は制度の対象外です。適用拡大のスケジュールは社会保険の適用拡大と「106万円の壁」で整理しています。
給与控除への影響:本人負担はどう変わるか
制度を利用している間は、被保険者本人の保険料負担が軽減され、その分を事業主が一時的に負担します。日本年金機構のパンフレットでは、標準報酬月額8.8万円の被保険者で本人負担が月12,500円の例について、1〜2年目は月6,250円、3年目は軽減割合が1〜2年目の半分になり月9,375円になるイメージが示されています(数値はイメージで、実際の額とは異なります)。軽減割合は標準報酬月額が高い等級ほど小さくなります(8.8万円以下は1〜2年目25%・3年目12.5%、12.6万円は2%・1%)。利用終了後は通常の負担(この例では12,500円)に戻ります。
| 時期 | 本人の給与控除 | 事業主 |
|---|---|---|
| 利用開始〜2年目 | 軽減(標準報酬月額8.8万円以下なら通常の半額。等級が高いほど軽減は小さい) | 軽減分を一時的に負担 |
| 3年目 | 軽減割合が1〜2年目の半分 | 同上 |
| 利用終了後 | 通常の本人負担に戻る | 最終的な納付総額は増えない(公式案内。ただし納付期限までに納付せず督促状の指定期限にも納付しなかった月の追加負担分は還付されない) |
給与計算では、対象者の社会保険料の本人負担額が通常の料率表と異なるため、給与ソフトの設定か手計算の料率表を制度開始月から切り替える必要があります。本人が実際に負担した額が社会保険料控除(所得税・住民税)の対象になるため、年末調整の控除額にも影響します。毎月の給与計算の流れは給与計算の流れとチェックポイント、会社負担分の見積もりは法定福利費の計算方法で確認できます。
導入の手順
自社が2026年10月1日以降に任意特定適用事業所となった(なる)か、申出期限内かを確認
短時間労働者の被保険者のうち、制度の対象になる人を日本年金機構の基準で確認
「保険料調整開始申出書」を事務センターか年金事務所へ。受付月から利用開始
対象者の本人負担額を変更し、本人へ給与明細で説明。終了時期を台帳に記録
FAQ
被保険者51人以上の会社も使えますか?
2026年10月1日時点ですでに特定適用事業所(被保険者51人以上。任意特定適用事業所を含む)だった事業所は対象外です。対象になるのは、2026年10月以降に新たに任意特定適用事業所となった50人以下の事業所と、2027年10月以降の適用拡大で新たに特定適用事業所となる事業所(2027年10月〜36〜50人、2029年10月〜21〜35人、2032年10月〜11〜20人、2035年10月〜10人以下)などです。自社の区分は日本年金機構の案内で確認してください。
申出をしないとどうなりますか?
制度は自動適用ではないため、申出がなければ通常どおりの保険料負担のままです。申出期限(該当日から2年を経過した日の属する月の前月まで)を過ぎると利用できません。
事業主の負担は結局増えますか?
日本年金機構の案内では、事業主が一時的に一部を負担しても、最終的に納付する保険料は増えないとされています。期間中の資金繰りと、終了後に本人負担が戻る際の説明を準備しておくと運用が安定します。
参考リンク(公式)
- 日本年金機構:保険料調整制度とは
- 日本年金機構:保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限
- 日本年金機構:保険料調整制度の開始申出の手続き
- 日本年金機構:保険料調整制度の対象となる被保険者
- 日本年金機構:保険料調整制度のご案内(特設ページ)
まとめ
保険料調整制度は、2026年10月1日以降に任意特定適用事業所となった事業所が、申出により短時間労働者の本人負担を通算3年間軽減できる制度です。申出期限と利用開始月(受付月から・遡及なし)を押さえ、給与計算の設定変更と本人への説明をセットで進めてください。対象者の範囲や軽減額の詳細は日本年金機構の最新情報で確認してください(2026年10月19日確認)。
この記事は一般的な実務情報の提供を目的としています。自社の該当可否、対象者、軽減額、源泉徴収や社会保険料控除への影響は、年金事務所・社会保険労務士・税理士にご確認ください。
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