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AI Tool Guide

生成AIの社内ガイドラインと情報漏洩対策

生成AIを安全に業務で使うために、情報漏洩の経路とシャドーAIのリスクを図解で理解し、会社全体の社内ガイドライン(規程)を6章で作る手順と、コピーして自社化できる規程ひな形までを整理した記事です。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としています。掲載する社内規程ひな形は一般例であり、最終的な社内規程やNDA・就業規則との整合は、弁護士・社会保険労務士・情報システム部門等への確認を前提にしてください。AIの定義・ガバナンスは「AI事業者ガイドライン(経済産業省・総務省)」、個人情報の取扱いは個人情報保護委員会の公式情報でご確認ください。

この記事でできること

  • 生成AIで情報が漏れる主な3経路と、シャドーAI(無許可利用)の構図
  • 会社全体の社内ガイドライン(規程)を6章で作る手順
  • コピーして自社化できる「社内規程ひな形」(プロンプトではなく規程の文面)
  • 漏洩・違反が起きたときの初動と、整備の進め方

まず結論

生成AIの情報漏洩対策は、「禁止」だけでは防げません。禁止しても社員が個人アカウントでこっそり使う「シャドーAI」が起きるためです。実効性のある対策は、許可ツール・入力ルール・安全な代替環境をセットで用意し、会社の社内ガイドライン(規程)として明文化することです。規程は6章あれば中小企業には必要十分で、本記事ではコピーして自社化できるひな形まで用意しています(2026年6月時点)。

「禁止」だけでは漏れる許可ツール+入力ルール+安全な代替環境をセットで用意する
漏洩は主に3経路学習利用・システムの脆弱性・生成物への混入を理解して塞ぐ
規程は6章で必要十分目的・許可ツール・入力禁止・出力確認・報告・違反対応

図解:情報漏洩の3経路

生成AIで情報が漏れる経路は、大きく次の3つです。それぞれ対策が異なるため、まず仕組みを理解します。

情報が漏れる主な3経路 経路①入力した内容がAIの学習に使われる(対策:学習に使わない組織向けプランを使う)、経路②システムの脆弱性・誤設定で外部に出る(対策:信頼できる提供元と共有範囲を確認)、経路③生成物に他者の情報や著作物が混入する(対策:出力を人が確認してから使う)の3つを示した図。 情報が漏れる主な3経路 1 入力した内容がAIの学習に使われる 対策:入力を学習に使わない組織向けプランを使う 2 システムの脆弱性・誤設定で外部に出る 対策:信頼できる提供元と、共有範囲の設定を確認する 3 生成物に他者の情報・著作物が混入する 対策:出力を人が確認してから使う
①は入力データの学習利用、②は提供側のシステムや共有設定、③はAIの出力に第三者情報が混じるケースです。対策は経路ごとに異なります(2026年6月時点)。
  • 経路①(学習利用):入力した内容が学習に使われる設定だと、他のユーザーの回答に影響する可能性があります。入力を学習に使わない組織向けプランを使います。
  • 経路②(脆弱性・誤設定):提供側の不具合や、共有リンク・権限の誤設定で外部に出ることがあります。信頼できる提供元と共有範囲を確認します。
  • 経路③(生成物への混入):AIの出力に、他者の個人情報や著作物が混じることがあります。出力は人が確認してから使います。

シャドーAIという落とし穴

「シャドーAI」とは、会社が許可していないのに、社員が個人アカウントで生成AIを業務に使ってしまう状態です。全面禁止にするほどシャドーAIは見えにくくなり、かえって管理できなくなります。禁止ではなく、安全に使える環境とルールをセットで用意することが対策になります。

シャドーAIの構図と対策セット 左は問題の流れ:社員が個人アカウントで利用→会社の情報を入力→管理外で漏洩リスク。右は対策セット:許可ツールを明示、入力ルールを周知、教育・注意喚起、安全な代替環境を用意、の4つを並置した図。 シャドーAI(無許可利用) 個人アカウントで利用 会社の情報を入力 管理外で漏洩リスク 禁止だけでは見えなくなり管理できない 対策はセットで 許可ツールを明示 入力ルールを周知 教育・注意喚起 安全な代替環境を用意 使える環境を整えることが最大の防止策
禁止だけでは、社員が個人アカウントで使う「シャドーAI」が見えなくなります。許可ツール・入力ルール・教育・安全な代替環境をセットで用意するのが実効的な対策です。
  • 許可ツールを明示:業務で使ってよいAI(組織向けプラン)を具体名で示します。
  • 入力ルールを周知:入れてはいけない情報を全社員が分かる形で共有します。
  • 教育・注意喚起:なぜ危険か・何がOKかを定期的に伝えます。
  • 安全な代替環境:学習に使われない組織向けの環境を用意し、「使うなら、ここで」を示します。

社内ガイドライン(規程)の作り方:6章構成

会社全体の社内ガイドライン(規程)は、次の6章があれば中小企業には必要十分です。各章を1〜2行で決めていきます。

社内ガイドライン6章マップ 第1章 目的(なぜ使うか・基本方針)、第2章 許可ツール(使ってよいAIと範囲)、第3章 入力禁止情報(入れない情報の決め方)、第4章 出力確認(人が事実確認してから使う)、第5章 トラブル報告(停止と報告の窓口)、第6章 違反対応(就業規則・定期見直し)の6章を2行3列で示した図。 社内ガイドラインの6章 ① 目的 なぜ使うか・基本方針 ② 許可ツール 使ってよいAIと範囲 ③ 入力禁止情報 入れない情報の決め方 ④ 出力確認 人が事実確認してから使う ⑤ トラブル報告 停止と報告の窓口 ⑥ 違反対応 就業規則・定期見直し
目的・許可ツール・入力禁止情報・出力確認・トラブル報告・違反対応の6章。次の章でそれぞれの決め方を1〜2行で示します。
  • 第1章 目的:なぜ生成AIを使うのか、基本方針(安全に活用する/禁止ではなく管理する)を示します。
  • 第2章 許可ツール:業務で使ってよいAI(学習に使わない組織向けプラン)を具体名と利用範囲で定めます。個人アカウントでの業務利用は禁止と明記します。
  • 第3章 入力禁止情報:入れてはいけない情報のリストを作ります。個別の入力可否(この情報は入れてよいか)の判定は、ChatGPTでビジネス文書(入れてはいけない情報の判定表)ChatGPT導入ガイドを参照してください(本記事では判定表は再掲しません)。
  • 第4章 出力確認:生成物は下書きとして扱い、事実・数値・法令は人が一次情報で確認してから使うことを定めます。
  • 第5章 トラブル報告:誤入力や漏洩のおそれがあったとき、ただちに停止して報告する窓口(情報システム部門・管理責任者)を決めます。
  • 第6章 違反対応:違反時は就業規則に基づき対応すること、規程を定期的に見直すことを定めます。

会議の録音・議事録でAIを使う場合の機密度の判定は、AI議事録の始め方もあわせて確認してください。

コピペできる「社内規程ひな形」

下のひな形は、6章の規程本文を穴埋め式にしたものです。「コピー」を押すと全文をコピーできます。これはプロンプト(AIへの指示文)ではなく、社内規程の文面です。[ ]と『 』の部分を自社の実態に合わせて差し替えて使います。

このひな形は一般例です。実際の規程化、NDA・就業規則・個人情報保護法との整合は、弁護士・社会保険労務士・情報システム部門等への確認を前提にしてください(2026年6月時点)。

生成AI利用規程(ひな形) [会社名]

第1章(目的)
本規程は、[会社名]における生成AIサービスの業務利用について、情報漏洩を防ぎ安全に活用するための基本ルールを定める。生成AIの利用を一律に禁止するのではなく、許可した範囲で安全に活用することを方針とする。

第2章(許可ツールと利用範囲)
業務で利用してよい生成AIは『[許可ツール例:ChatGPT Business、Microsoft 365 Copilot 等、入力を学習に使わない組織向けプラン]』に限る。個人アカウントでの業務利用は禁止する。新たなツールの利用は[承認者:情報システム部門/管理責任者]の承認を得る。

第3章(入力してはいけない情報)
次の情報は入力しない。個人情報(氏名・連絡先・マイナンバー等)、顧客・取引先の非公開情報、未公開の財務・人事情報、ID・パスワード等の認証情報、契約やNDAで秘密と指定された情報。個別の可否判断は別途定める一覧・関連資料による。

第4章(出力の確認)
生成物は下書き・たたき台として扱い、事実・数値・法令は担当者が一次情報で確認してから使用する。生成物に他者の著作物・個人情報が混入していないかを確認する。

第5章(トラブル時の報告)
誤入力、漏洩のおそれ、不審な挙動を認めた場合は、ただちに利用を停止し、[報告先:情報システム部門/管理責任者]へ報告する。

第6章(違反時の対応と見直し)
本規程に違反した場合は就業規則に基づき対応する。本規程は最低年1回、および法令・公的ガイドラインの改定時に見直す。

附則 本規程は[施行日: 年 月 日]から施行する。

整備の進め方(ガバナンス)

規程は、現場任せにせず会社として整えるのが基本です。次の5ステップで進めます。ツールの導入手順そのものはChatGPT導入ガイドを参照し、ここでは規程づくり(ガバナンス)に絞ります。

1方針を決める

経営層が利用方針(禁止でなく管理)を決定

2許可ツール・禁止情報を確定

使ってよいAIと入れない情報を決める

3規程ひな形を自社化

ひな形を自社の実態に合わせて修正

4周知・教育

全社員に説明し、理解を確認

5運用と定期見直し

年1回・改定時に見直す

漏洩・違反が起きたときの初動

万一、入力してはいけない情報を入れてしまった、漏洩のおそれがある場合は、次の順で動きます。

  • 停止・範囲特定:ただちに利用を止め、対象のアカウント・データ・入力内容の範囲を特定します。
  • 記録:何を・いつ・どこに入力したかを記録します。
  • 報告:管理責任者・情報システム部門へ報告します。
  • 関係先・専門家への連絡:必要に応じ、取引先・本人・関係機関(個人情報保護委員会等)や弁護士・社労士へ連絡します。
  • 再発防止:原因を分析し、規程・教育・ツール設定に反映します。

導入前チェックリスト

社内ガイドラインを整える前に確認したい項目です。画面上でチェックできます(保存機能はありません)。

0 / 6 完了

安全に使える環境を用意したい場合は

シャドーAIを防ぐ最大の対策は、学習に使われない組織向けの環境を用意することです。中小企業向けのAIツールを用途から比較して選べます。

参考リンク(公式)

FAQ

生成AIは全面禁止すべきですか?

全面禁止は現実的でないことが多く、かえって個人アカウントでの無許可利用(シャドーAI)を招きます。禁止ではなく、許可ツール・入力ルール・安全な代替環境をセットで用意し、管理して活用する方針が実効的です。

シャドーAI(無許可利用)はどう防げばよいですか?

使ってよい環境を用意することが最大の防止策です。許可ツールを具体名で示し、入力ルールを周知し、教育で「使うなら、ここで」を伝えます。禁止の徹底だけでは見えなくなり、防げません。

社内ガイドラインは何章あれば十分ですか?

中小企業では、目的・許可ツール・入力禁止情報・出力確認・トラブル報告・違反対応の6章があれば必要十分です。本記事のひな形をコピーして自社化できます。

情報が漏れたら最初に何をすべきですか?

まず利用を停止し、対象のアカウント・データ・入力内容の範囲を特定します。記録を取り、管理責任者・情報システム部門へ報告し、必要に応じて取引先・本人・関係機関や専門家へ連絡します。

小さい会社でも規程は必要ですか?

必要です。むしろ担当者が少ない会社ほど、口頭ルールだけでは抜けが生じます。1ページの規程でも、許可ツールと入力禁止情報が明文化されているだけで安全性が上がります。

既存のNDAや就業規則との関係はどうなりますか?

本規程は、NDAや就業規則を置き換えるものではなく、生成AI利用の具体ルールを補うものです。秘密保持義務や懲戒の根拠は既存の規程に依拠するため、整合は弁護士・社会保険労務士に確認してください。

まとめ

生成AIの情報漏洩対策は、「禁止」ではなく「管理して活用」が基本です。漏洩の3経路(学習利用・脆弱性・生成物への混入)を理解し、シャドーAIを防ぐために許可ツール・入力ルール・教育・安全な代替環境をセットで用意します。会社の社内ガイドラインは6章で必要十分で、本記事のひな形をコピーして自社化できます。規程は一般例のため、NDA・就業規則・個人情報保護法との整合は弁護士・社会保険労務士・情報システム部門等への確認を前提にしてください(AI事業者ガイドライン・個人情報保護委員会の公式情報を参照。2026年6月時点)。

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。掲載の規程ひな形は一般例であり、最終的な社内規程・NDA・就業規則・個人情報保護法との整合は、最新の公式情報(AI事業者ガイドライン、個人情報保護委員会)および弁護士・社会保険労務士・情報システム部門等の専門家へ確認してください。

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